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税理士 野口洋司氏、日本政策金融公庫 森貴行氏、茨城県信用保証協会 大山隆志氏/2021年度第3回 決算書の見方・かんたんな事業計画書のつくり方

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税理士 野口洋司氏、日本政策金融公庫 森貴行氏、茨城県信用保証協会 大山隆志氏/2021年度第3回 決算書の見方・かんたんな事業計画書のつくり方

税理士 野口洋司氏、日本政策金融公庫 森貴行氏、茨城県信用保証協会 大山隆志氏/2021年度第3回 決算書の見方・かんたんな事業計画書のつくり方

むすぶしごとLAB.は第一線で活躍する経営者や専門家をお招きし、地方での仕事の作り方や働き方のヒントを探すための実践的な学びと交流の場です。

2021年度第3回目の講座では、日本政策金融公庫の森貴行さん、茨城県信用保証協会の大山隆志さん、税理士の野口洋司さんにご登壇いただきました。

日本政策金融公庫 森貴行氏

日本政策金融公庫では国の政策に基づき、創業支援の融資や小口の事業資金融資を行なっています。日本政策国庫で融資を受ける際の審査ポイントや、事業承継を含む創業の方法について教えていただきました。

少ないリスクで事業を大きく育てるための創業を

日本の開業率は4.2%で、欧米諸国の半分以下。日本公庫では国内の開業率を10%台に押し上げ、地域経済の活性化を目指していると言います。

創業にはゼロから新規事業を立ち上げる方法のほかに、後継者のいない事業を買い取ってスタートする方法があります。事業を受け継ぐ場合はブランド名や設備、取引先も引き継ぐことができるので初期費用を抑えて創業できます。

日本公庫では事業を譲り渡したい事業主と、事業を譲り受けたい創業希望者を結びつける「事業承継マッチング支援」を進めているそうです。

また茨城県事業承継・引継ぎセンターが運営する「茨城県後継者人材バンク」でも茨城県内の後継者不在事業を探すことができます。

ゼロから自分のアイデアを実現するのは難しいと思っている人や、事業の立ち上げよりも経営をやりたいという人は事業承継も視野に入れ、自分に合った創業の方法を探してみると良いかもしれません。

創業計画は「小さく産んで大きく育てる」発想が大事だと言う森さん。小さい金額の融資で創業時のリスクを抑え、まずは事業を軌道に乗せることを目標に計画を立てることが賢明とのことでした。

茨城県信用保証協会 大山隆志氏

大山さんからは資金到達の方法について教えていただきました。茨城県と連携した融資では、創業希望者が比較的低い保証料で利用できる場合もあるそうです。

創業者向け金融保証について

信用保証協会は、中小企業や小規模事業が資金調達をする時に保証人になる公的機関です。信用保証協会が保証することで、金融機関との取引が浅い事業でも融資が受けられるようになります。

創業者向けの保証制度には「茨城県創業支援融資」と「茨城県女性・若者・障害者創業支援融資」があります。

今年は特に20代の若い世代からの申し込みが多いそう。条件次第では利用できる制度も広がるため、色々な支援を調べながら創業計画を進めるのが良いとのことでした。

税理士 野口洋司氏

事業を継続するためには経営者自身が会計を理解し、経営状況を把握することが大切です。本講義では会計を有効活用するために必要な決算書の見方から事業計画の立て方までを網羅的にレクチャーを受けました。

会計の目的はトラブルから自社を守り、倒産を防ぐこと

一般的に損益計算書と貸借対照書を合わせて「決算書」と呼びます。

損益計算書は会社の経営成績を判断する決算書のこと。貸借対照表では資金の調達・運用の顛末を表す企業の財政状況を知ることができます。

月次決算書は「前期の業績と比較するのではなく、経営計画と照らし合わせることが大切」と言います。

経営計画は、5年間に達成すべき具体的な戦略目標として中期経営計画を作成。中期経営計画を基本に逆算しながら短期計画を立てるようにします。計画と実績のズレを把握することが上手な資金繰りにつながるそうです。

「会計の目的はトラブルから自社を守り、倒産を防ぐこと」と野口さんは説明しました。日々記帳を行い、月次決算をもれなく更新していくことが大切とのことでした。

2023年10月インボイス制度導入に向けてのアドバイス

インボイス(適格請求書)とは、売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税額などを伝える書面です。

現在の消費税は原則10%ですが、軽減税率の実施で食品など特定の商品については8%の消費税が適用されています。複数の税率が混在するなかで該当商品の消費税率を分かりやすくするために、インボイス方法が導入されることになりました。

事業者が国に納付する消費税は、売り上げた商品の消費税から、仕入れや経費で既に支払った消費税分を引いた差額です。

インボイス制度導入後は課税事業主のみが発行できる適格請求書を消費税額の証拠資料として、仕入れ額分の消費税を控除します。

適格請求書を必要とする事業者は免税事業主と取引しても仕入れ税額控除ができないので、売上分の税金をまるまる払わなければいけません。インボイス制度導入で免税事業者は避けられる可能性があります。

フリーランスや個人事業主など、年間の売り上げが1,000万円未満の場合は消費税の免税事業主であることが大多数。

これから創業を考えている人は適格請求書を必要とする事業者を相手に取引をするために課税事業者になるか、個人や一般消費者との取引をメインとして免税事業者として創業するか、どちらかを選択する必要があります。もし課税事業主になる場合は納税に耐えうるだけの事業基盤を整備することが大切と話していました。