お知らせNEWS

REPORT

origami PRODUCTIONS CEO/A&R 対馬芳昭氏/2019年度第5回

REPORT

origami PRODUCTIONS CEO/A&R 対馬芳昭氏/2019年度第5回

origami PRODUCTIONS CEO/A&R 対馬芳昭氏/2019年度第5回

専門家による講義や対話、フィールドワークなどを通して、これからの地方での仕事の作り方や働き方のヒントを探すための実践的な学びの場、むすぶしごとLAB.。

2019年度最終回は、origami PRODUCTIONS CEOの対馬芳昭氏が登壇。abanua、Ovall、KanSanoといった、実力と個性のあるアーティストを擁する音楽レーベルorigami PRODUCTIONS。

対馬氏の創業の動機の中に「売れる売れないじゃなくて、一生一緒に仕事をできるアーティストと仕事をしたい」という思いがあったそうだ。今回は、創業の背景や、自分が好きなことを仕事として続けていくために大切にしていることについて話を伺った。

origami PRODUCTIONS

かつては日本の音楽企業に勤めていた対馬氏。創業のきっかけとなった思いは、日本の音楽業界の、多様性の狭さと、そこから歯がゆさを感じていったこと。もちろん日本の音楽文化に良い部分もあるが、多様性の無さゆえに、新たなカルチャーが生まれずらく、素養とオリジナリティのあるアーティストが消えていってしまうことを残念に思っていたそうだ。

そこから、「売れるか売れないか、ではなく、一生一緒に仕事を続けられるアーティストと仕事をしたい」という想いを持ち起業。創業当時、事業としての勝算が見えていたわけではないが、「どこまで続くか分からないけどとにかくやってみよう」という感覚だったそうだ。

「日本は、仕事が上手くいかなかったとしても職がある。困ったら最悪コンビニでアルバイをすればいいや、ぐらいに考えないと踏み切れないですね」と、対馬氏は語る。

創業時に決めたのは、「辞めない」ということ。自分で決意した創業だからこそ、少しずつでも良いから続けていくことを意識。音楽業界は、流行り廃りのある業界なので、「ずっと続けていくことで、いつか光が見えてくるかもしれない」という思いもあったそうだ。

2007年に創業したorigami PRODUCTIONSは、8組のアーティストを擁し、対馬氏を含め8名のスタッフで運営されている。

一緒に仕事をするスタッフについては、「粘り強さ」が重要だという。というのも、どんなに優秀な人材であっても、会社を辞められてしまえば、そこで終わってしまうからだ。共に働く人材について「能力が低くても、会社で続けてくれる人には粘り強さがある。それさえあれば、例えスキルが低くても、まだまだ教えるチャンスがあります」と対馬氏は語る。

所属するアーティストたちに対しては、アーティストそれぞれがやりたいことを大切にしている。
会社の方針やマネージャーの成功例に従うのではなく、まずはアーティストの作品ありき。そのうえで、「この作品は、どのように売っていけばよいか」「どのように見せればお客様が欲しいものになるか」を考えていくのだそうだ。

対馬氏が好きなことを仕事にしていくモチベーションの一つに、「自分が好きなものを誰かに紹介して、それを気に入ってもらえるのが嬉しい」という気持ちがあるという。それを続けるために、きちんと売り上げを考えて事業を進めている。origami PRODUCTIONSアーティストありきで作品を世に出していくが、売上にこだわりが無いわでではなく、「出来上がった作品をどのように売っていくか」という部分を追求していくそうだ。

対馬氏が事業の中で心がけていることは、辞めないこと、続けること。そのためにも、あまり一喜一憂しないようにしているとのこと。「この仕事を、ただやりたいからやる。それをお客さんが受け入れてくれるかどうかは結果論。『これだけやったんだから、これだけの結果になるだろう』というのは、自分の中での理想でしかないですね」(了)