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開業に必要な資金調達とM&Aについて/2019年度第3回

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開業に必要な資金調達とM&Aについて/2019年度第3回

開業に必要な資金調達とM&Aについて/2019年度第3回

専門家による講義や対話、フィールドワークなどを通して、これからの地方での仕事の作り方や働き方のヒントを探すための実践的な学びの場、むすぶしごとLAB.

2019年度第三回目は、公認会計士の海生裕明氏、日本政策金融公庫 水戸支店 融資第二課 濱武貴泰氏、茨城県信用保証協会 経営支援部 創業支援課の坂本正弘氏それぞれによる、資金調達に関するレクチャー。

起業やM&Aを夢物語に終わらせないため、成功させるために必要な事業計画や資金調達の話、そして起業とM&Aの違いやM&Aの難しさについての講義が行われました。

日本政策金融公庫の、創業資金融資
日本政策金融公庫は、政府100%出資の政策金融機関。「セーフティネット機能の発揮」「日本経済成長・発展への貢献」「地域活性化への貢献」という3つの役割を帯びており、新規事業を始める人に向けても、創業支援融資を行っている。融資だけでなく、フリーダイヤルでの電話などで創業に関する様々な相談にも対応。

「雇用を生み、経済を活性化させていくためにも創業を支援できれば」と語る講師の濱武氏。今回は、濱武氏から、新規創業者がどのように日本政策金融公庫を利用できるかを解説された。

新規創業者が、融資の審査の際に重視されるポイントは、その人の「過去:創業を考えている分野での経験値」「現在:資金の準備状況(創業計画の中での自己資金の割合。ここで創業への本気度が見られる)」「未来:創業計画書の内容や具体的なビジョン、夢や情熱」の三点。
そのなかでも、融資をける際の「創業計画書」をしっかりと書いておくことが必要とされる。日本政策金融公庫スタッフも、計画書づくりのサポートをしていくとのこと。

会場では、実際の創業計画書のサンプルも配布され、解説も行われた。

茨城県信用保証協会による、創業資金融資における保証について
信用保証協会とは、民間金融機関からの事業資金借り入れを行う際の、保証人となる会社。
茨城県内の企業でも約4割が茨城県信用保証協会を利用しているが、新規創業者向けの保証も行っている。

新規創業者も、保証を受ける際に審査が行われる。ここでポイントとなるのが、創業計画書の内容。これは、金融機関に事業内容について理解してもらうだけではなく、新規創業者自らの考えや戦略を整理するためにも、しっかりと作ることが必要とされている。
それだけでなく、審査にあたっては、経営やマネジメントの資質、業務に関する技術や知識、事業そのものに社会的ニーズがあるかどうかなども問われていくそうだ。

講師の坂本氏は最後に「計画は、まずは紙に書き出してみると良いです。最初から完璧な計画でなくても良いので、色々な方から意見をもらいながら書いてみてください」とアドバイスを伝えた。

事業継承やM&Aについて
M&Aとは、簡単に言ってしまえば「すでに設立・運営されている会社を購入する」ということ。

ゼロから会社を立ち上げた場合、会社が安定するまで売り上げを立てていくことが大変だ。
一方でM&Aの場合、すでにある会社を購入しているので、最初から売り上げが立っているというメリットである。許認可が必要なビジネスに参入しやすくなる、という利点もある。また、性質上1を10に伸ばしていくことが得意な人に向いているという。

M&Aの難しさは、会社を買うということは不動産を買うように単純な売り買いではないというところ。
会社には、社長をはじめ、そこに関わる人がたくさんいる。会社を買うとき、そして買った後も、それらの人々とコミュニケーションをしっかりとることが重要となる。もちろん、想いだけでなく、その会社の経営状況や連帯契約、裁判、税金滞納といった細かい部分もしっかり調査していく必要はあるが、会社を売る側の気持ちもきちんと考えていく必要がある。

単なる儲けの話だけではなく、買いたい会社の社長と、買おうとする自分の想い、存在価値が一致していて、方向性や考え方が同じような人であれば、安心して事業を売ることができる。事業継承やM&Aを行うにあたり、海生氏は、「単に事業を引き継ぎ続けるだけではなくて、その事業を始めた人の想いまで引き継いでほしい」と語った。(了)