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SEASON1第4回「【視察】地方で創業する人と応援する人のいい関係づくり」セミナーレポート

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SEASON1第4回「【視察】地方で創業する人と応援する人のいい関係づくり」セミナーレポート

SEASON1第4回「【視察】地方で創業する人と応援する人のいい関係づくり」セミナーレポート

2016年11月19日、むすぶしごとLAB.SEASON1の第4回セミナー開催。今回は、長野県上田市のコワーキングスペース「HanaLab.」が舞台。

HanaLab.代表の井上拓磨(いのうえ・たくま)氏、結いプロジェクト代表の飯野勝智(いいの・かつとし)氏による対談と、HanaLab.コミュニティーマネージャーの柚木真(ゆのき・しん)氏による店舗案内を通して「地方で創業する人と応援する人のいい関係づくり」を学んでいきました。

 

HanaLab.について

「TOKIDA」「UNNO」「CAMP」というそれぞれ機能の異なる三店舗から構成されているコワーキングスペース。三店舗とも長野県上田市内にあります。
コワーキングスペースの運営だけでなく、シェアオフィス、イベント企画、企業・行政などをつなぎ合わせる中間支援なども行っています。代表の井上氏曰く、「コワーキングスペースをやっているというよりは、その機能を生かして地域課題を解決する存在、という感じ。」とのこと。

HanaLab. 公式サイトはこちらから

 

井上氏と飯野氏の対談

視察前半は、「UNNO」にて対談。HanaLab.と結いプロジェクト、お互いの活動紹介から始まり、運営の苦労、これからの展望などについて話し合いました。また、結いプロジェクトがこれから作ろうとしている結城の「場所」づくりについての相談もおこなわれました。

井上氏は、2012年2月に「TOKIDA」をスタートさせてから、現在では合計3つの場所を運営し地域の人と企業と仕事をつないでいく役割を担っています。飯野氏は、様々なイベントをきっかけに少しずつ地域の人たちや行政との信頼関係を築き、今まさに次のステップに進もうといている段階。

異なる切り口で地域にかかわっている二人のお話からは、地方での創業とそれに対する支援、そして創業者と地域を取り巻く人々がお互いにどう関わっていくかのヒントを得られました。

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井上氏「コワーキングスペースを成り立たせようと思ったら、いろんな地域の社会課題を解決しないとそもそも成り立たないな、というところがありました。HanaLab.を成り立たせるために頑張っていたことが、地域活性をやっているよね、というようになっていきました」

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「これからの展開を進めていく中で「場所」をうまく使い、人が交流できる場所を持ちたい」と考えている飯野氏。

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結いプロジェクト事務局の野口も対談に参加。「自分自身も結城のハレの日以外の「町中の担い手」をつくろうと、創業支援を積極的に行っています。創業を考える人と積極的につながっていきたいです(野口)」

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対談のあと、UNNOで頂いたお昼ごはんは、後で紹介する「CAMP」で作られたお弁当。ちょうどいいボリュームと品数で、とてもおいしい!

 

HanaLab.店舗見学ツアー

視察後半は、HanaLab.コミュニティーマネージャー柚木氏による、店舗見学ツアー。「UNNO」「CAMP」「TOKIDA」について紹介していただきました。

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移動中の車窓。上田市は、山々の美しい景色が身近に感じられる。

 

UNNO(ウンノ)

商店街の中にある、女性と社会をつなげるコワーキングスペース。シェアオフィスとしての機能も持っています。イベント会場としても使われることがあるそうです。

UNNOの特徴は、地元のお母さんたちの社会復帰支援を行っていること。子育て中だけど仕事もしたい、というお母さんたちを育成し、一定のレベル以上になった人に対してはHanaLab.から仕事を発注。また、UNNOで鍛えられたお母さんたちの就職先となる企業の開拓も行っています。

併設されたシェアオフィスは満室。その中の一社では、は地元のお母さんたちが働いているそうです。

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横断歩道の先にあるのが、UNNOの入り口。主婦の会員さんのアイディアが元になって生まれた。商店街の中にある。

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UNNOの1階。奥行きがあり、かなり広々とした空間。

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「お母さんの社会復帰支援」を行っているだけあり、託児所も併設されている。

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キッチンも併設。ここで会員のお母さんたちが作るご飯「ママランチ」は、ワンコインで食べられる。2階のシェアオフィスを利用している人たちも食べにくる。

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情報交換や仕事への目標設定などが掲示されているスペースは、イラストやマスキングテープが使われ、楽しい雰囲気。

 

CAMP(キャンプ)

もとはスーパーマーケットの店舗だった建物を利用。こちらも、コワーキングスペースとシェアオフィスがあります。

スタートアップ企業やこれから拡大期に入る企業などが中心に利用するそうです。HanaLab.がそれらの人や企業をつなぎ合わせる場所としても機能。

コワーキングペースはシンプルで日当たりがよいカフェ。会員でなくとも一品注文することでコワーキングスペースとして利用可能。地域の人やほかのHanaLab.店舗の方も食べに来るそうです。

シェアスオフィスは、家の中に家があり、秘密基地のような雰囲気。すでに何社か入居中ですが、CAMPの建物内にはまだ拡張の余地があり、「作りながら運営している」とのこと。

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CAMPの建物は、元スーパーマーケット。

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CAMPのコワーキングスペース。カフェとしての機能もあり、会員でない人も利用することができる。

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コワーキングスペースで、柚木さんの自己紹介。「どうしたら会員さんがHanaLab.を使いやすくなるか」を考える他、視察・取材対応、秘書的な仕事、会社ブログ運営、企業への提案など、様々な役割を果たしている。

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平置きの本は、柚木氏が選んだもの。「置いてある本はすごく大事だなと思っていて。どんな人に来てほしいか、を示しているんですよね(柚木氏)」

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CAMPシェアオフィスの一部。建物の中に壁や天井がとりつけられ、さらにその中に個ブースが設置されている。

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建物の奥にはまだまだ使えるスペースが広がっており、これからのCAMPの展開が楽しみになってくる。

 

TOKIDA(トキダ)

HanaLab.の中ではいちばん最初にできた場所。フリーランスになりたての方の利用が多いそうです。
テナントエリアもあり、フォトスタジオや信州大学の学生団体、パーソナルジムなども入居中。

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この建物の2階がTOKIDA。UNNO、CAMPと同様、広い面積を持つ。

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TOKIDAのコワーキングスペース入り口。ここに入れるのは、会員の方のみ。

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コワーキングスペース。奥には個ブースもある。

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テナントエリアの一画では、信州大学の学生も活動している。

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廊下にたくさんのフライヤーやフリーペーパーなどが設置されている様子から、この周辺地域の活動や交流が盛んなことがうかがえる。

 

視察を終えて

視察の終盤に、柚木氏が
「僕らが『この人はこういうことができて、この会社はこういう能力がある』ということを理解して、仕事を振ったり会員さん同士をつないだりしていかないと、ここに入っている意味がなくなってしまう。そこは難しいし、コストも時間もかかる。でもそれを丁寧にやっていかないと、ただの場所貸し業になってしまう。それだと面白くないし、コワーキングじゃなくてもいい。」
と語っていました。

単に仕事場所を提供するだけでなく、人と人、人と企業を積極的につなぐ役割を果たしているHanaLab.。この場所にいろいろな人があつまり、新しい可能性が生み出されていることを感じました。

ここ数年、地方で活動する人や団体も増えていますが、仕事や働き方、雇用に関する課題が、地方にはまだ多く残っていると思います。だからこそ、HanaLab.のような役割を果たす場所は、これからの地方にとって重要であるはず。

そして、今回の視察を終えて、結城の街なかにできる予定の新しい「場所」は、どのような役目を果たすことになるのか、期待も高まってきました。

(写真・取材・レポート:佐野匠)