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POMPON&COMPANY INC ディレクター 立道嶺央氏/2019年度第1回

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POMPON&COMPANY INC ディレクター 立道嶺央氏/2019年度第1回

POMPON&COMPANY INC ディレクター 立道嶺央氏/2019年度第1回

専門家による講義や対話、フィールドワークなどを通して、これからの地方での仕事の作り方や働き方のヒントを探すための実践的な学びの場、むすぶしごとLAB.。

2019年度第一回目は、オーガニックでジャンキーなケーキの製造販売を行う、POMPON&COMPANY INC ディレクターの立道嶺央氏が登壇。トロリーを搭載した自転車にケーキをつめこみ、鎌倉を中心に移動販売を行う立道氏。2014年からは鎌倉市梶原に店舗を構え、cケーキの製造販売を通して「トラディショナリー・ニュー」を掲げケーキショップの新しい文化を発信している。

今回は、起業の経緯やその思いについて、移動販売スタイルから実店舗を持つに至った経緯やその中で考えたこと、地域やスタッフとの関わり合いについてお話を伺った。

POMPON&COMPANY INC

立道氏は、大学卒業後は茅葺屋根の職人をしていた。しかし3年ほど働いた後仕事を辞め、東日本大震災の2ヶ月ほど前に地元鎌倉に帰って来たそうだ。

何かしなければ、と考えていた時に、立道氏の母親がこの道30年のケーキ作りの先生だったこと、「身の丈に合った、新しいものと古いもの」をキーワードにいくつかの生業を持ちたいと考えていたこと、地元鎌倉の街をリビングルーム化してみたい、という思いから、POMPON CAKESをスタート。

販売用にケーキ作りを行うためのアパート改装と、移動販売のための自転車購入など、創業にかかった金額は約50万円。自分ができるところから始めていった。

移動販売を始めた当初は、なかなか収益が上がらなかったという。しかし、路上を移動しながら待ちゆく人々を観察することで、「鎌倉にはどんな人たちがいるのか」「どんなニーズがあるのか」を発見し、それらをPOMPON CAKESのロゴやパッケージデザインにも落とし込んでいった。

また、街の中を移動販売しつつ、SNSを使って発信することで、「神出鬼没のお菓子屋さん」のようなブランドが自然と作られていったそうだ。

移動販売は大変だったが「街に出て、人と話して、売って帰ってくる、という楽しさがあったから続けられた」と立道氏は語る。

現在の実店舗を構えたのは、2014年。場所は、鎌倉市梶原という、観光スポットから離れた住宅地。鎌倉駅前などの一等地に比べ家賃が安いという魅力もあるが、立道氏自身、一等地で店舗を構えるよりも、まだ出来上がっていない場所で始めることや、新しくカルチャーを作っていくことに魅力を感じているそうだ。

店舗づくりにあたっては、「中途半端なことはしたくないし、この地域と仕事で生きる覚悟」を持って始めたという。日本政策金融公庫からの借り入れなども行った。

その地域の人たちが誇りに思えるような店にしていきたいと考える立道氏は、「ゆっくり地域に馴染んでいきたいし、自分たちがやりたいことは時間がかかると思っています。グルメサイトの評価よりも、街の人たちがどう喜んでくれるかが大事。味で一番を狙うのではなく、いつも街から必要とされているようなお店でありたいですね」と語っている。

実店舗を持つことの良さは、クオリティの高いケーキを作れるようになったこと、その地域の風景を作ることができること、この場所に来てもらう理由を作れること。

現在では、約10名のスタッフとともに運営中。人を雇うことは大変だが、「一人ではできなかったことができるようになってくる」というチームでの運営の良さも感じているそうだ。(了)