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2017年度第5回「日本のモノづくりから切り拓く新たなマーケット」セミナーレポート

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2017年度第5回「日本のモノづくりから切り拓く新たなマーケット」セミナーレポート

2017年度第5回「日本のモノづくりから切り拓く新たなマーケット」セミナーレポート

これからの地方での仕事の作り方や働き方のヒントを探すための学びの場、「むすぶしごとLAB.」。

2017年のセミナーの最終回、第5回目では、メイドインジャパンの工場直結ファッションブランド「Factelier (ファクトリエ)」を運営する、ライフスタイルアクセント株式会社の代表取締役の山田敏夫(やまだ・としお)氏による講義が行われました。

 

講師紹介

山田敏夫氏 (ライフスタイルアクセント株式会社 代表取締役)

1982年、熊本に生まれる。1917年創業の老舗婦人服店の息子として、日本製の上質で豊かな色合いのメイドインジャパン製品に囲まれて育つ。大学在学中、フランスへ留学しグッチ・パリ店で勤務。2006年、ソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社入社。メディア事業本部営業マネージャーを経て東京ガールズコレクションの公式通販サイトを運営する「fashionwalker.com」へ。社長直轄の事業開発部にて、最先端のファッションビジネスを経験。2012年、ライフスタイルアクセント株式会社を設立。2014年、中小企業基盤整備機構と日経BP社との連携事業「新ジャパンメイド企画」審査員。2015年、経済産業省「平成26年度製造基盤技術実態等調査事業(我が国繊維産地企業の商品開発・販路開拓の在り方に関する調査事業)」を受託。年間を通して訪れるものづくりの現場は100を超える。

 

セミナーの様子

「日本から世界ブランドをつくる」という大きなビジョンを掲げ事業を展開していく、ファクトリエの山田氏。セミナーに参加した皆様は、高い熱量を持った山田氏のお話に圧倒されながらも、起業や会社経営をするうえで大切なエッセンスを少しでも持ち帰ろうと真剣に講義に臨んでいました。

また、セミナーの中では、山田氏から参加者に対し、工場や職人などモノづくりにまつわる質問も何度か挟まれました。質問の内容とその答えを考えるなかで、いま日本のモノづくりの現状に初めて気づく、という参加者も多かったのではないでしょうか。

本セミナーの中では、ファクトリエが目指すモノづくり、山田氏が留学先のフランスで受けた衝撃、起業してから現在に至るまでの取り組み、日本のモノづくりの現状、応援経済の話など、についてお話しいただきました。

 

とくに印象深かったのは、山田氏が留学先のフランスでうけた衝撃のエピソード。

山田氏がフランスに留学したのは二十歳のころ。世界ブランドGUCCIの店舗で働き、そこで「日本のファッション業界の行きつく先に、世界一流へのブランドの道はない」ということに気付く。

というのも、GUCCI、Hermès、Louis Vuittonといった世界ブランドは工房から生まれており、モノ作りや品質というものは最も重要で大前提である「ゼロ番目」に来ている。
一方で、日本のファッション業界では、ブランディング、マーケティング、最近でいえば「インスタ映え」といった表層的な部分が重要視されている。

一流ブランドでは、当然のように「モノづくり」が大切にされている。それなのに、表層的な部分を売っていく日本のファッションは、このままでは絶対に一流になれない。

このとき受けた衝撃が、今のファクトリエにつながっているそうです。

 

ファクトリエ起業後、山田氏はさまざまな苦労を重ねながらも、現在では

「販売価格は、工場とファクトリエが一緒に考える」
「世界一流ブランドを作っている日本の工場の技術を、全部出し切ったモノづくりをしてもらう」
「工場や作り手の情報をWeb上などでオープンにする」
「販売の際はインターネットから「直販」のようなかたちでお客様に服を届ける」

という、作り手とその技術を大切にしたファッション販売事業を展開(もちろん、それ以外にも様々な想いや取り組みがあります。FactelierのWebサイトもぜひご覧ください)。

そして、単に品質の良い商品を販売するのではなく、日本から世界ブランドをつくる過程の中で、商品の作り手、使い手、伝え手、工場、お客様、そしてファクトリエの全員が幸せになれるサイクルを作ろうとしている、とのことでした。

ファッションを作る工場、原料が到着する港、セミナー、打合せなど、様々な場所に移動し、非常にお忙しいところとご登壇いただいた山田氏。参加した皆様がお話にくぎ付けになる、熱い講義を行っていただき、本当にありがとうございました。

山田氏は、目標の一つとして、「オリンピックの日本選手団のユニフォームを作りたい」というものがあるそうです。

それは、「日本全国から集まり世界の舞台に挑む選手たちのユニフォームを、世界レベルの技術を持った日本の工場で作り上げて応援する」というもの。

アスリートや職人、ファッション業界に関わる人でなくても、聞けば思わず胸が高鳴ってしまうこの目標。

簡単に実現できることではないことかもしれません。
しかし、ファクトリエの「日本から世界ブランドを作る」というビジョンと「みんなが幸せになれるサイクルを作る」という取り組み、そして、セミナーの中で感じた山田氏の高い熱量があれば、実現しまうのではないかと、期待が高まります。

2017年のむすぶしごとLAB.最終回では、メイドインジャパンの工場直結ファッションブランド「ファクトリエ」を運営する、ライフスタイルアクセント株式会社の代表取締役の山田敏夫の講義が行われました。

セミナーに参加した皆様は、「日本のモノづくり」をキーワードにこれからのビジネスを考えていく貴重な手掛かりを、しっかりと手に入れられたのではないでしょうか。

(取材・撮影・レポート:佐野匠)