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2017年度むすぶしごとLAB.第1回「結城の磨き方作戦会議」 セミナーレポート

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2017年度むすぶしごとLAB.第1回「結城の磨き方作戦会議」 セミナーレポート

2017年度むすぶしごとLAB.第1回「結城の磨き方作戦会議」 セミナーレポート

これからの地方での仕事の作り方や働き方のヒントを探すための学びの場、「むすぶしごとLAB.」。

今年度は、2017年10月9日から12月2日までの間に、各分野から様々な講師をお招きして、全5回の構成でセミナーを行いました。

2017年度第一回目は、スタイリストの岡部文彦(おかべ・ふみひこ)氏と前橋市議会議員の岡正己(おか・まさみ)氏を講師として迎え、「地域の潜在的な魅力に新たな価値観をプラスした新商品を開発するための方法」を探っていきました。

 

講師紹介


岡部文彦氏(スタイリスト・バリカンズ主宰)
1976年岩手県生まれ。2000年からメンズファッション雑誌のスタイリストとして活動。2006年からアウトドアファッションに重点をおいてスタイリング活動を始めたことで、様々なアウトドアメーカーとの企画開発に携わるようになる。雑誌GOOUTでは外遊びを研究する連載を持ち、自身では、WEBSHOP「ホームセンターバリカンズ」と農園芸作業着ブランド「HARVESTA!」を運営している。

 


岡正己氏(前橋市・市議会議員)
1980年生まれ。群馬県前橋市出身、前橋市立第三中学校、前橋市立前橋高等学校卒業後上京、文化服装学院スタイリスト課を卒業後、スタイリスト岡部文彦氏に師事。3年のアシスタント期間を経てフリーランスのスタイリストとして起業。ファッション雑誌、ミュージシャン、タレント、広告などのスタイリストとして活動。2009年、地元前橋を盛り上げるために帰郷。2010年11月、前橋市内初となるコミュニティラジオ局、株式会社まえばしCITYエフエムに開局と同時に入社。以後プロデューサー、事業推進ディレクターとしてラジオを通して前橋にて数々の事業を企画・推進。2017年2月12日、前橋市議会議員選挙で初当選。

 

セミナーの様子

今回のテーマの中には、「地域の潜在的な魅力に新たな価値観をプラス」という言葉が入っています。それに合わせて、結城市北部市街地を舞台に毎年行われているイベント「結い市」との同日開催。

セミナー前日は結い市の一日目ということもあり、来場客や出展作家でにぎわう結城の古い街並みの中を、むすぶしごとLAB.の事務局が講師のお二人をご案内させていただきました。

お二人とも、見世蔵、酒蔵、紬問屋など、伝統的な建物や製品などもじっくり視察。それだけでなく、商店街にある普通の店舗、街中にある何の変哲もない看板や側溝の蓋にも着目し、さまざまなコメントをくださいました。

結い市の二日目がむすぶしごとLAB.セミナー当日。セミナー会場となった場所は、築80年をこえる建物をリノベーションした場所「Coworking & Cafe yuinowa」。結い市で街なかがにぎわう中、オープンして間もないコワーキングスペースで、結城の磨き方作戦会議が行われました。

講師の岡部氏、岡氏からは、ご自身が行ってきた活動紹介のほか、前日の街歩きで感じたことを絡めながら「外から来た人の目線から見た結城」「地方のものづくり」「地方の街のありかた」を中心にお話。

そして、結い市をはじめ結城市の街おこしを行うボランティア団体「結いプロジェクト」のリーダー・飯野と事務局の野口も参加。普段から結城に関わり続けている二人の話も交えながらセミナーが進められていきました。

岡部氏は、スタイリストとしての仕事のこと、バリカンズとして行ってきた活動のこと、岡部氏の地元岩手県の民芸品「市場かご」と、それを現代版にカスタマイズした「市場KARGO」のことについてお話くださいました。

その中でも特に印象に残ったのは、バリカンズが伝統的な「市場かご」を現代風に進化させた「市場KARGO」という製品。

「市場かご」はもともと岩手県一戸地方で板前や主婦の買い物籠として使われてきたもの。それを現代のニーズやライフスタイルの中でも使いやすいように、バリカンズがカスタマイズしていったものが「市場KARGO」。まさに、「地域の魅力あるものに新たな価値観をプラスし開発された商品」だと思いました。

岡氏は、スタイリストとしての仕事のこと、友人に「おまえの地元ダサいね」と言われたこと、地元前橋に戻ってからの活動、地域活性化、などについてお話くださいました。

お話の中で印象に残ったのは、子供や若い人に結城紬を浸透させていくためのアイディア。

岡氏:結城の街にとって結城紬の存在は大きいから、若い子たちにも浸透していったら面白いのではと思います。着物を着るときのハードルに「帯を締める」というものがありますが、これは一度習えばみんな締められるようになると思います。それを継続させていけば、「結城の子供たちはみんな自分で帯を締められるよ」ということになるし、結城紬も若い人たちに浸透していくのではないでしょうか。
※岡氏のトーク内容より抜粋

地域の魅力あるものに、子供のころから触れ続ける機会をつくる。そうすることで地域が持つ魅力を大切にしたいと思えるようになるし、魅力をもっと周りに伝えたくなる。そして、地域の価値がどんどん磨かれていくのだと思いました。

今回のセミナーは「地域の潜在的な魅力に新たな価値観をプラスした新商品を開発するための方法」を考えていく機会でした。

お忙しい中、二日間にわたり結城の街を見てお話をしてくださった講師のお二人。岡部氏・岡氏のお話を聞きながら、「地域の新商品開発」を考えていくときには、まずは自分たちの地域が既に持っている魅力をじっくりと分析していくことが大切なのではないでしょうか。

今年、yuinowaという新たな場所が結城街なかにオープンし、ヒト・モノ・コトそれぞれが結城市内外でつながっていく機会が増えていきます。その中で、新商品開発にとどまらず、結城市に関わる様々な活動が発生しますが、「地域が既に持っている魅力は何か」ということを、常に意識していきたいと思います。

(取材・撮影・レポート:佐野匠)