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中小企業相談士 金城篤子氏 /周到な計画で創業後のリスク軽減を

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中小企業相談士 金城篤子氏 /周到な計画で創業後のリスク軽減を

中小企業相談士 金城篤子氏 /周到な計画で創業後のリスク軽減を

むすぶ しごと LAB.は、第一線で活躍する経営者や専門家をお招きして自分らしい仕事のつくり方や働き方のヒントを探る実践的な学びと交流の場です。2024年の第3回講座では、日本政策金融公庫の九里実氏、茨城県信用保証協会の萩谷良彦氏、中小企業診断士の金城惇篤子氏が登壇しました。創業に向けて知っておきたい資金面でのサポートや、設立した会社を続けていくためにも創業前にしっかりと考えておきたいポイントを解説しました。

日本政策金融公庫 九里実氏
創業時、創業後の大きな壁は資金調達


日本政策金融公庫は、民間の金融機関の金融を補完する国の金融機関です。民間の金融機関と日本政策金融公庫の両方を使う事業所さんは多いそうです。久里さんが担当している国民生活事業では、小規模事業者や中小企業への融資を専門としています。

久里さんによると、事業者へ「創業後に苦労したこと」を聞いた調査で、顧客や販路開拓が全体の約5割を占めたそうです。「自分の経験やスキルを活かして事業を立ち上げるということは大変ですが、それはスタートに過ぎない。資金調達をきちんとして事業を上手く進めていくのが目標」と九里さんは指摘し、事業を立ち上げる前段階違の創業計画の重要性を訴えました。

また、創業に踏み切れない人への調査では、その理由として「自己資金が足りない」ことを挙げる人が多く、資金調達が壁となっていることが分かりました。創業時の融資は、営業実績がないこともあり、十分な資金調達が難しい場合があります。

日本政策金融公庫は長年、創業融資も行い創業企業を応援してきました。民間の金融機関と比べて起業家が融資を受けやすい制度があり、特に女性や若者、シニアの起業家を対象に利率が下がる場合があるなどといった支援を行っています。

「創業後も上手く続いていくお手伝いがしたい」と九里さん。公庫を創業をきっかけに使い、運転資金が必要なときにも使ってもらうような長い目で見た関係づくりを目指しているそうです。

最後に九里さんは「融資を紹介したり、資金について数字の面でご相談にのったりすることもできますので、水戸支店にお気軽に相談ください」と呼びかけました。

茨城県信用保証協会 萩谷良彦氏
県内中小企業の約半数が利用


茨城県信用保証協会は、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が保証人となることでお金を借りやすくなるようにサポートする公的機関。茨城県内の保証協会の利用率は46.5%で、県内にある中小企業のうち約3万4千社が利用しているそうです。

創業する人は決算書もないので、金融機関から融資を受けるのが難しい状況となることが多いそう。そんな時に保証協会が保証人として味方になります。

基本的な流れは、まず中小企業や小規模事業者が保証協会に保証申込をします。そこで、保証協会が審査を経て「保証人になれる」と判断をすると保証承諾として金融機関にそのことを連絡します。そして、金融機関が融資を実行します。最後に返済条件に従って返済をして終了します。

しかし、災害発生などで返済が困難な状況になることもあります。その際は、保証人となっている保証協会が代わりに金融機関へ未返済分を返済します。萩谷さんは「金融機関さんからすると融資が焦げ付くリスクがなくなるので融資がしやすくなる」と説明します。

萩谷さんは茨城県の融資制度として「県創業支援融資」と「県女性・若者・障害者創業支援融資」を紹介しました。「創業者に有利な制度となっている。窓口は各市町村の商工団体」と説明し、「金融機関でも高金利で簡単に借りられるものはあるのですが、非常に負担が大きいので、資金調達する際には県の制度をご検討ください」と呼びかけました。

金城篤子氏
事業の言語化と数値化が重要

金城さんは企業で経理や法務関係の職種を経て2022年に独立。主に東京都世田谷区で創業融資や資金調達など創業に関わる相談を受けています。

また、事業する上で「自分の考えをまとめて言語化することが大切」として、考えを整理するためにも重要な事業計画書をしっかり作る重要性を訴えました。

数値化することについても「売上目標や利益目標が具体的に分かって説得力が増す。資金返済の見通しも立てやすくなる」とメリットを伝えました。

覚悟を持って周到な準備を
金城さんは創業に必要なもとのして「覚悟」「ビジネスモデル」「お金」「健康」「家族の協力」を挙げました。

覚悟を持つといったマインド面については「赤字でもこの事業をやりたい、というへこたれない情熱、経営への思いが必要」と主張。会社員とは違い、経営者として自ら判断を迫られるからこそ熱い思いが求められます。また、金城さんは「最初に周到な計画をすることで、リスクを減らすことも必要」と事業の責任を負うからこそ重要となるリスク管理についても触れました。

ビジネスモデルとは収益を上げる仕組みのことで「やりたいこと」「できること」「ニーズがあること」の3つが揃っていることが重要。金城さんはさらに、数多い商品・サービスの中で選んでもらうための「独自性も必要」と指摘し、「ビジネスモデルで利益が出てビジネスが回っていくのか、収益計画を作って計算する必要がある」と話しました。

創業資金は少し多めに見積もりを
金城さんは、事業計画の中でも資金計画を中心に解説しました。
資金計画は、創業時に「何にいくら使うか」「そのお金をどのように調達するか」を整理したもの。この資金計画の策定には苦労する人が多いそうです。開業に必要な資金は、「設備資金」と「運転資金」を合計額を計算すると分かります。

設備資金は店舗の借入金や工場の機械などで、「支払う前に融資を申し込まないと、融資の対象外になる」と注意を呼びかけました。運転資金は、基本的に事業開始から3か月分を目安に算出。こでは3か月あれば資金繰りが回るという考え方です。金城さんは「資金計画の見積もりを甘くすると、後で資金が足りなくなるので、何にいくら必要なのかをしっかり考えて、少し多めに見積もるべき」と説明しました。

資金調達については、自己資金や金融機関からの融資などがあります。
「事業が安定するまでには時間がかかるので、自己資金はおおうほど良いと言えるでしょう」と説明。また、どのくらい自己資金があるかは金融機関の評価に影響するため、「創業前であれば少しでも貯金することで『お金の管理ができる人』という印象を与えられます」とアドバイスしました。

「借入金に依存していないか。利益で返済できるか。しっかり確認してください」

売上は厳しめに、経費は多めに見積もって

収益計算について、金城さんは「1年後には事業が軌道に乗ると想定して12か月分の売上高を計算します」と説明し「月によって変動する場合は、毎月の売上高、利益、経費を2年分ほどを収益計画としてExcelなどで作成することが理想」と話しました。

「実際に計画を立ててみると、『意外と経費がかかる』『儲かり過ぎている』などといった結果になる人もいます。儲かり過ぎている場合は想定が現実的ではないかも」と注意を促します。

また、「経費は思っている以上に掛かるので多めに見積もり、売上は想定の7〜8割程度で計画を立てた方が安心です。そうすれば、何かあったときの修正が容易です」とポイントを強調しました。
最後に金城さんは「数字の計画を1〜2年分、しっかり想定できるかが、事業が上手くいくかどうかに関わります。慣れないうちは大変だと思いますが、挑戦してみてください」とエールを送りました。