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TACOMA FUJI RECORDS 渡辺友郎氏/2020年度第1回 自分のしごとのつくり方

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TACOMA FUJI RECORDS 渡辺友郎氏/2020年度第1回 自分のしごとのつくり方

TACOMA FUJI RECORDS 渡辺友郎氏/2020年度第1回 自分のしごとのつくり方

専門家による講義や対話、フィールドワークなどを通して、これからの地方での仕事の作り方や働き方のヒントを探すための実践的な学びの場、むすぶしごとLAB.。

2021年度第1回目は、架空の音楽レーベルTACOMA FUJI RECORDSを主宰し、様々なプロダクトを展開する渡辺友郎氏が登壇。レコード会社から独立を経ての創業の経緯や、自ら販路を切り開いて行ったプロセス、商品への思い入れを伺った。

何者でもない自分。「自分を武器」に働きたかった

大学卒業後、就職した旅行代理店を1ヶ月で退社した渡辺氏は、自分が何をしたいのかを改めて考え直した結果、「物を作る仕事」か「物を作る人のそばにいたい」とレコード会社に転職する。氏曰く「デザインは分からないし、PhotoshopやIllustratorも使えなかったけれど、『出来ます』と言って」飛び込んだというデザイン部門で、ビジュアルプランナーとして、約10年間CDジャケットや販促物を制作に携わった。

業務上、デザイナーをはじめフリーランスで仕事をするクリエイターと関わる機会が多かった渡辺氏。「フリーのクリエイター達がかっこよく見えた」と当時を回想する。

「『渡辺です』と言っても誰も僕の事は分からない。僕は『ビクターの渡辺』でしかなかった。でもクリエイター達は、自分の名前で仕事をしていて、自分の武器を持っている。それがかっこよかった」

自分の名前と自分が作り出すもので仕事を生み出すクリエイター達が、当時組織に所属していた渡辺氏には眩しく見えた。同じ頃、社内の人事評価に違和感を抱いたこともあり退職を決意したという。

「辞めたら、自分もフリーのクリエイター達のような存在になれるのではないかとも思った」

「かっこいい」「好き」を形にするプラットフォーム

退職後は、フリーランスとして在職中と同じ仕事を続ける一方、1年後にそれまで趣味として行ってきたTシャツ制作を事業化する。架空の音楽レーベル「TACOMA FUJI RECORDS」だ。TACOMA FUJI RECORDSは、”デザイナーが良いと思うデザインを形にするプラットフォーム”となるべく立ち上げられた架空の音楽レーベルで、架空のミュージシャンを設定し、そのマーチャンダイズを行うというコンセプト。

それまでにも仕事で、ジャケットやグッズのデザインには関わってきたが、デザイナーや渡辺氏が推しているデザインが採用されないことも少なくは無く「こっちの方が良いのに」という思いが募っていったことが立ち上げの背景にはある。

制作する商品の基準は、無類のTシャツ好きである渡辺氏本人が欲しいと思う・着たいと思うTシャツであることにこだわる。過去に「流行っているから」「売れそうだから」という理由で制作したTシャツは全く売れなかったという。「自分で愛着が持てない商品は売れない」と渡辺氏。

生み出すものへ愛着と懐に飛び込むガッツ

「多くの仕事は毎回が『初めまして』。懐に飛び込むガッツと誠実さがあれば、ネットワークなんて毎回作っていくものだと思う」

今では広い認知度を持つTACOMA FUJI RECORDSだが、販路拡大の方法はというと、店舗は持たず自社ECサイトで販売する傍ら、「かっこいいな」「商品を置いてもらいたいな」と思ったショップに自ら営業を行い卸先を広げてきた。「片っ端から話を聞いてもらった」という言葉通り年間300〜400件営業するというスタイルをつい数年前まで続けていたそうだ。

創業から一貫して、商品への愛着と自信があるからこそ出来ることも少なく無い。自らの足で販路を開拓し、事業の拡大を進める中でも、「大きな店でなくても、商品を大切に扱ってくれるところに置いてもらいたい」という軸は徹底している。

「自分で始めたのだから、自分が止めるまでは失敗では無い。成功するまでやり続けるぞ」という思いを胸にスタートした仕事だったが、渡辺氏曰く「財布の中に2〜3万ある」状態までの事業の歩みについては、何かのきっかけがあったという訳ではなく、「続けたこと」こそが何よりの鍵だったそうだ。

「間違えても死ぬわけじゃない。失敗したら謝れば良い。まずは始めることが大切。失敗したと思うまでは失敗ではないから」