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SEASON1第1回「つづくお店の作り方 1」セミナーレポート

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SEASON1第1回「つづくお店の作り方 1」セミナーレポート

SEASON1第1回「つづくお店の作り方 1」セミナーレポート

10月22日、「むすぶしごとLAB.」SEASON1の第1回目セミナーが行われました。会場は茨城県結城市のcafé la famille。今回は「つづくお店のつくり方」がテーマのトークイベント。株式会社手紙社代表の北島勲氏とcafé la familleオーナーの奥澤裕之氏のお二人に、店舗の立ち上げや運営に関するお話を伺いました。
冗談や、お二人の意外な開業エピソードを交えつつ、和やかなムードでのトークイベントとなりました。

20161022-dsc_2202登壇者が語る場所は、café la famille店舗内のステージ。オープン後に拡張して作られたスペースであり、ライブなどにも使われる。

20161022-r0004228 約10年前、雑誌『自給自足』の編集者であった北島氏がcafé la familleを取材したことがきっかけで、二人は知り合った。

 

異なる背景を持つ「つづくお店」の作り手

現在、調布市内と台北市に合計4店舗を経営する北島氏は、元雑誌編集者。「自分たちがお店を作ることで、クリエイティブな人が集まりエネルギーを発していく場になれば」という思いを抱き、2009年に「手紙舎 つつじヶ丘本店」をオープン。立ち上げ当初から、店内レイアウト、告知、人事など、手探りと試行錯誤でお店を運営していきました。開業して約4年間は、お客が来ても利益が出ない状態でしたが、粘り強く運営を続けた結果、今から2年ほど前からやっと「なんとなくやっていけるかな」と思えてきたそうです。

一方、 都内からもお客が足を延ばす人気店のオーナー、奥澤氏は、高校時代から様々な飲食店勤務や新規店舗立ち上げを経験。その後20代後半で独立し、カフェワゴンや自宅を改装したレストランなどを通して、 様々な見識を積み、36歳でcafé la familleをオープンしました。café la famille は「こんなところでお茶を飲めたら、ごはんを食べられたら心地よいのでは」という思いで建てられたお店。店舗の建物や庭は、開業当初から少しずつ育っている、とのこと。
20161022-dsc_2163北島氏「手紙舎では飲食もやっているけど、「すばらしいものづくりに出会える場所」を目指しています。すばらしい作品を見て、買ってもらったり、作りたくなったりしてもらえたら、それが幸せな瞬間。」

20161022-dsc_2193奥澤氏「自分の中に修業的な経験が無くてコンプレックスだった。けど逆に、お客さんはこういうの喜ぶんじゃないか、というアイディアは料理に集中していた方よりは持っている方だな、と思っていたので、それを全面的に出せば、自分でお店やることも無理ではないのかな、と思った。」

 

「つづくお店」に必要なこと

北島氏は、「雑誌の編集時代と今の仕事で、違う仕事をしているという意識は全然ない。」とのこと。その上で、「出版した本は修正ができないけど、自分のお店は毎日変えられる。とにかく踏ん張ってポジテイブに続けていくことで、いいことが必ず起きると思います。」と、今回のテーマについて締めくくってくださいました。

30年先を考えてcafé la famille を立ち上げ、現在まで10年以上お店をつづけてきた奥澤氏。「お客さんは何を期待しているのか、それは自分にできることなのかをまず考える」「続かないことはやらない」という意識をもって店舗運営をしているとのこと。そして、自身より先輩たちのお店を見ていく中で、「やっていることにブレが無い」「計画性がある」ということが重要と感じたそうです。
20161022-dsc_2283北島氏「作り手の喜びっていうのは、作り手として最高の表現をできたときだと思うんですよね。手紙舎という場所を使ってそういうのを成し遂げてくれたときは、やっていてよかったな、と思います。お店で個展をやるときは、かならず担当をひとりつけて、作家さんの個展に合わせたメニューを考えています。」

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奥澤氏「お店に来ている人たちが結婚して子供できて、その子供歩くようになって、子供の面倒みるためにおじいちゃんおばあちゃんが来て。そのうち子供がなんだか中学生になっちゃった。そういう経過を想定してcafé la famille建ててました。」

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真剣な表情で登壇者の話を聴く参加者の皆様。

飲食店の経営者でありながら、異なる背景をもつ北島氏と奥澤氏。しかし、二人は「続くお店をつくり運営していく、企画者・編集者のような存在」として共通点があるように思えました。今回のトークイベントで語られたことは、店舗運営だけでなく、地方でのしごとづくり、プロジェクトづくりにも活かせるのではないでしょうか。
 
(取材・撮影・レポート:佐野匠)